地震が起きた後には、津波が発生する可能性があります。津波は地震や海底変動のとても大きなエネルギーが形になったもので、そのパワーは通常の波と比べてケタ違いに大きいものです。
震源に近い場所であれば、地震から5分もしないうちに津波がやってきます。例えば北海道南西沖地震では、約2〜3分で最初の津波が発生しました。
海洋プレートの移動により、大陸の先端が引きずりこまれ歪みが発生します。
歪みが限界に達すると、元にもどるためにはね返り、海水を押し上げます。
持ち上げられた海水は四方八方へと広がります。海が深いほど高さは低くてスピードは速く、海が浅いほど高さは高くてスピードは遅く伝わっていきます。
台風のときに見られる大きい波は、水面が風にあおられて生じる海水表面部分の動きのため、短い波長が連続して発生します。津波は、海底の地盤の上下により海水全体が押し上げられ、非常に長い波長の波が発生します。津波は大きな波というよりは、異常に高くて急激な潮の満ち引きのようなものです。
台風の波は、たとえ2mの波でも10mの波でも平均的な波の高さはまったく変わりません。津波は波長が長いために長時間にわたり波の押しが継続し、海水面が10m上昇したのと同じことになります。
津波が堤防を越えたり、堤防が決壊した場合は、あとからあとからとめどもなく海水が流入し、まさに海が盛り上がってきたという感じになります。津波にさらわれると数キロ先の沖合いまで流されてしまいます。
津波の速さは海が深いほど速く、太平洋では、ジェット機なみの速さになります。海岸近くでも秒速約10mなので、津波が見えてからではとても逃げ切れません。
水深が浅くなるにつれ津波の速度は遅くなり、後ろから追いついた津波が馬乗りのようになって急激に高く盛り上がります。また、海側が広く入り江が狭いV字型の湾では、津波の高さが急激に高くなります。
地震の起こり方や、震源付近の地形によっては、津波の前に引き潮が必ず起こるとは限りません。突然津波が襲ってくることがあります。
津波は1波、2波、3波とくり返し襲ってきます。また、必ずしも第1波が最大とは限りません。津波注意報や警報が解除されるまで気をゆるめず、海辺には絶対に近づかないようにしてください。
津波の波と普通の波は全く違います。津波は、巨大な水の塊が迫ってくる現象なので、小さい津波でも普通の波とはもっているエネルギーが全く違います。
津波では様々な漂流物が流されてきます。漂流物の衝突する力や地震の被害が加わり、人や建物、漁船やライフラインなどに計り知れないダメージを与えます。
下の表に、津波の高さと被害程度を示してあります。津波の高さが1mを超えると、木造家屋は部分破壊を起こします。2mを超えると全面破壊です。石造家屋でも津波の高さが8mを超えると、また鉄筋コンクリート建物でも16mを超えると全面破壊をおこします。